今月の3冊、ご紹介します。

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[書 名]
 『 これからの「正義」の話をしよう 』

[著者名]
 マイケル・サンデル

[出版社]  早川書房

[内容と魅力]

「正しい行い」とは何か、
どう行動することが
社会や人々のためになるのか等、

哲学的なことについて
じっくり考えたい
という人にお勧めの本です。

この本は、一般公開された
大学の講義をまとめたものです。

2005年、米軍特殊部隊が
パキスタン国境から
タリバンの偵察をしていたとき、

アフガニスタンの農夫親子に
姿を見られてしまいます。

迷った挙句、彼らを解放したがために
タリバン兵士に包囲され、
壊滅に近い悲惨な結果となります。

この場合、あなたがリーダーだったら、
どちらの方法をとりますか。

また、1884年、漂流した船の乗組員たちは、
仲間の一人を殺害することで
生き延びる道を選択します。

この判断をあなたは支持しますか。

この他、
「1人を殺せば5人が助かる状況にあったとき、
あなたはどちらを選択するか」

「犯罪を犯した自分の兄弟を
かくまうか通報するか」

「金持ちのもつ財産を
貧しい人々に分配するのは
果たして公正なことなのか」

など、多くのことについて
賛否両論を紹介し、

議論する材料を
提供する構成に
なっています。

この本は、先日実施された
九州看護福祉大学の
小論文の課題にも使用されました。

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[書 名]
 『 水木さんの 幸福論 』

[著者名]  水木 しげる   

[出版社] 角川文庫 

[内容と魅力]

 今の生活にあまり張り合いを
感じていない人や気分を変えたい人、

そして本当の幸福について
考えたい人などにお勧めの本です。

この本は、「ゲゲゲの鬼太郎」などの
作品で知られる筆者が、

これまでの悲喜こもごもの人生を
振り返った随筆です。

筆者は「幸福観察学会」の会長を自認し、
「幸福の7か条」を紹介しています。

それは、「成功や栄誉や勝ち負けを目的に、
ことを行ってはいけない」

「しないではいられないことを
し続けなさい」

「なまけ者になりなさい」

などです。

筆者はこう話します。

「打ち込めることを
真剣に探そうとするマジメな人たちには、
案外それが見つからないものだ。

実は、見つけるのにはコツがある」

と。

さて、そのコツとは何でしょうか。

また、
「自分の好きなことを
自分のペースで努力していても
結果はなかなか思い通りにはならない。

だから、たまにはなまけないと
いけないのが人間です」

とも述べています。
 
筆者は、戦争中激戦のラバウルで
多くの仲間たちが次々と
命を落としていくのを
目の当たりにします。

筆者自身も爆撃のため
左腕を失ってしまいます。

それでも前向きに行き続け、
88年間を生き続けた今でも、

年を追うごとに
幸せ度が増しているといいます。

私たちとどこが違うのでしょうか。
ぜひ読んで欲しい一冊です。

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[書 名]
 『空気の読み方、教えてください』

[著者名]  桂 三輝     

[出版社] 小学館 

[内容と魅力]

この本は、日本の文化、
中でも落語に関心のある人に
お勧めの本です。

作者は現在3人いる
外国人落語家のうち、
最も活躍している人です。

カナダ出身で、
現在ではカナダやアメリカ、
イギリスなどの国々で

英語やフランス語に
翻訳した落語公演を行い、
日本文化の伝播に貢献しています。

桂三枝(現在 桂文枝
・「新婚さんいらっしゃい」の司会者)

の弟子になった筆者は、
当初は
「弟子は、師匠の食事が終わる直前に
食べ終わるのがよい」

というアドバイスの意味が
理解できませんでした。

また、師匠に「おはよう」
「ありがとう」などと言って注意されますが、

英語だったら、
たとえ大統領であっても
「Thank you」でいいので、
なぜいけないのか
分からなかったと言います。

数年の後、
落語の魅力を世界に伝えるため、
それを英語に翻訳しようと考えます。

でも、たとえば
「よろしくお願いします」を
「Nice to meet you」に訳すことに
疑問を感じるなど、
仕事は一向にはかどりません。

また筆者は以前、
日本語では「スマート」が
「体が細い」という意味で
使われているけれど、
それは間違った用法だと
考えていました。

本当は「賢い」という
意味だからです。

でも日本でいろいろと
経験していくうちに、

「国によって使い方が
違っても当たり前だ」
と考えるようになります。

確かに日本人は、
「クリスマス」や「バレンタイン」
「ハロウィン」などのイベントでも、

それを日本風にアレンジして
楽しんでいますが、
それで一向にかまわないの
ではないかと考えることもできます。

落語のように
伝統芸能として
単純に笑いだけを
目的にしたものは

世界でも
他に例がないと
言います。

この本は、
落語家らしく
随所にユーモアが含まれ、

西洋と日本の
文化や考え方の違いなどが
わかりやすく紹介されているので、
とても楽しく読める一冊です。

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年末年始、
さまざまなことに思いを馳せる夜に
読まれてはいかがでしょうか。